経営者としてあるべき姿とは(ソニーから学ぶ)
「ソニーショック前夜、うつ社員が急増した」のまとめ
- 出井さんは自己顕示欲から過去を否定して全てを変えた
- 出井さんは創業者世代を超えようとして失敗した
- 出井さんは自分が主導したことでないと気に入らない。過剰なトップダウン
- 土井さん提唱のフロー経営は現場の内発的なモチベーションを重視する
- ソニー創業者は、現場を信頼して任せる経営だった
- 経営者は、葛藤が強いと自分が主導しないとうまくいかないと思ってしまう
- 出井さんは周りをイエスマンで固めた
- 上司のいうことしか聞かないエンジニアは三流
- 出井さんは、社内エンジニアの意見を全く聞かずに外部コンサルを重宝した
- 合理主義経営で、上司からの圧力から、うつ病写員が増えた
- 出井さんは劣等感から部下に圧力をかけた
出井さんは、ソニー初の新卒サラリーマン社長だったわけですが、
会社が常に成長し続けることの難しさを感じます。
ソニーほどの成功体験をたくさん創出してきた会社がどうあるべきなのか?
考えてみたい。
そもそも、社長が交代するタイミングは、①景気が悪くなったので構造改革が必要、②業績が悪い事から引責辞任、③社内の不祥事で引責辞任、④体調不良
この4つくらいしか無い。
全上場企業の平均在任期間は、7.1年で、社長の50%ほどは4年未満で退任されます。
出井さんは、1995年4月から2000年6月までの5年と2ヶ月に渡って社長を務めました。その後も、最高経営責任者、会長を2005年6月まで務めています。
ウィキペディアにも、『2004年にAIBOやQRIOなどロボット事業からの撤退を命令していた』とあるので、実質的には、出井体制だったと判断します。
2003年のソニーショックや出井らが示した経営再建計画が達成できない見通しとなったことから、2005年6月に業績悪化の責任を取り辞任しました。
実質の出井体制が10年続いたわけで、その間にソニーがおかしな方向に行ったとしたならば、罪であるわけだが、そもそもソニーがどんな会社で、何を目指しているのか?を明確にして、それに適した人材を選ばないと結果は悪い方向に行ってしまう。
そもそも、ソニーという会社は音響会社だと考えると分かりやすい。
そこで、当時の社員には、音の質にうるさい人が多かった。
また、そんな社員を多く採用した。
それに技術者が答えようとして高音質を追求する方向性や、携帯性を追求する方向性で技術力を発揮した。
音を出す為には真空管ではなく、トランジスタだとして、日本初のトランジスタを製造して、ラジオを作り、そのトランジスタはその後、パソコンなどの電子部品に発展するようになった。
だから、その時に必要な社長は、音の質が分かり、また携帯性などの夢を語っていれば良かった。社長が技術の事をわからないから、技術の事は技術者に任せる。
それがかえって、技術者は自分の思う信念を貫くことで、新しいものがどんどんと生まれていった。
ただそれだけの事ではないかと思う。
同じような例としては、中日ドラゴンズの落合監督は、打撃の事は分かるが、ピッチャーの事は分からないとの理由で、ローテーション(投げる順番)は、森ピッチングコーチに全部任せていた。
任せることと自分がすべきことの境界線はきっちりした方が良いと思われる。
では、ソニーは何を間違えたのか?
その答えが引用した土井さんの記事にあった。
出井さんを社長に指名したのは大賀さんであるが、それには間違いはなかったのだと思う。
それは、出井さんはこれからはインターネットの時代であるとして、ネットでのクリエーティブな商品開発を目指した。
そこまでは間違っていない。
しかし、出井さんが間違ったのは、任せることと自分がすべきことの役割分担を間違えたのだと思う。
社長としてやるべきことは、リスクを考えながらも、いかに部下がやりやすいようにサポートするかだと思う。
中小企業の社長であれば、ワンマンでも良い。ワンマンが必要な時代もあると思う。
しかし、ある程度以上の規模になったら、ワンマンではやっていけない。
任せないといけない。
社長は将来の成長を考えた施策と、会社の体質強化のバランスを図らないと長きに渡っての成長は見込めないだろう。
特に技術者をかかえる会社は、なおさらである。
アウトプットの効率だけを求めたら技術者は育たない。
出井さんは、ソニーをインターネット企業にしようとした。出井さんはインターネットの専門家ではない。なら、社内の専門家に任せるのがベスト。そして、将来の構想に最短で向かうために社内の技術者が一番やりやすいようにお膳立てをするのが社長の役割ではないかと思う。
経営者としてのあるべき姿とは
社長は、自分の上に上司はいない。
会社の中で上司がいないのは、社長ただ一人である。
部下はみんな上司の言動を気にして仕事をしている。
だから、社長は、自分の言動が社員にどのような影響を与えるかを常に気をつけなければならない。
実際の実務をするのは社長ではなく、その部下たちなのであるから、信頼と信念をもとに社員に任せるしか無い。
自分でコントロールしようとするから上手く行かない。
期待する結果を示して、それがどのような形であるにしろ、どのような結果が得られたのかを分析して、さらに良くなるように仕向けるのが社長の仕事である。
その時に必要なのは、人間としての意識を高く持つことである。
常に社会や係る人々へ貢献することで、自分自身が成長していく必要がある。
そのように常に自分自身がチャレンジしていくことが重要である。
社長自身が安定を求めているような態度では、それが社員にまで伝搬して、よりクリエーティブな事を社員がしなくなってしまう。
- 安定を求めず社会や係る人々(部下)へ貢献しながら自分が成長する
- 自分自身が常にチャレンジする
この2つが本当の意味で実践できていれば自然と尊敬を集めるし、ましてや上場企業の社長であれば、賞賛されること間違いなしである。
にも関わらず、土井さんの記事によると、出井さんは、自己顕示欲を満たす道具として社長という身分を使ってしまった。
自己顕示欲を出してしまうとリーダーシップは発揮できない。
自分が関わっていないのに、会社として成果が出てしまうと自分は役立たずで、自分は要らない存在になってしまうのではないかと思ってしまう。
矛盾したような不安定な感情が湧き上がることになるが、そこをぐっとこらえて、部下が成功するための最大限できる配慮に注力する。
そうすることが本来の社長の役割であり社長のリーダーシップなのである。