シャープ買収共同会見で郭台銘董事長に期待したい事!
鴻海とシャープが買収契約に調印した。
共同会見の様子から感じたのは、鴻海の人達って保守的な所がありそう。。。
そんな所が面白いと思って書いてみることにした。
共同会見の内容をまとめると以下のようになります。
- 鴻海からシャープに3888億円を出資する。
- 鴻海副総裁いわく『買収ではなく投資』
- 郭董事長いわく『私は日本、シャープが好き』
- 鴻海はシャープの技術開発能力を評価している。
- シャープが再び先端のグローバルブランドになるようサポートする。
- 鴻海は、シャープから100年企業になる術を学びたい。
- お互いの弱みは小さな会議室で開示する。オープンにしない。
- シャープは独立運営。大阪本社を買い戻す。
- シャープと早川徳次(創業者)の博物館を作りたい。
最初に面白いと思ったのは、日本とシャープが好き。大阪本社を買い戻す。シャープと早川徳次の博物館を作りたいと言ったことです。
これはいろいろな事が考えられる。。。
大阪本社は買い戻した方が、固定費がかからないのでそうしたい??
シャープと早川徳次の博物館を作ると言うことで日本人に良く思われたい??
中国人に良く見られる『シャープの博物館は俺が作ったんだ。。。』思想???
と、私などは、これが共同会見でマスコミからバッシングされない様に考えられた演出なのか?
それとも本当にそのように考えてシャープを再生させようとしているのか?
現時点では分からないことで、数年後にその答えが出るのかなと思います。
シャープと鴻海は全く異なる事業体
シャープは最終商品を研究開発して世に出しているメーカーで、鴻海は他社が設計した商品を生産する会社なので、お互いにやっていることは全く異なっています。
今後のシャープの復活に必要なことに関しては以前記事を書きました。↓
electricalengineer.hatenablog.com
共同会見でも郭董事長は、「このアライアンスでは企業文化が違うという人もいるが、それが重要なこと。だからうまくいく」と説明している。
なんだか説明になっていない。。。
いずれにしても『鴻海もシャープも変化を促すことができなければ、競合他社に食べられてしまう。懸命に泳ぎ続けなければならない』との事です。
これらの発言からすると郭董事長は、戦士のような気合の入った人で気合で今まで乗り切ってきた人なんだと思う。
全くもって戦略家ではない。
おそらく戦略家であれば、このように述べるだろう。
『シャープと鴻海は全く異なった事業をしている。それは最終商品を作るメーカーと商品を生産する会社である。シャープは研究開発を得意とし、鴻海はものつくりそのものを得意としている。シャープが研究開発したものを鴻海で安く作ってお客様にお届けする。これほどのシナジー効果はない。。。』
以前記事でも書きましたが、シャープは研究開発は得意であるが、商品の原価低減が得意ではない。過去に原価低減をしていれば。鴻海に買収されることは無かっただろうと強く思う。
(それはたとえばトヨタの生産方式の導入とか原価低減の考え方とかを愚直に取り組むことで実現が可能なレベルである。)
おそらくシャープの給料は高くて、鴻海の給料は安い。鴻海のような生産のみの会社は給料が安くないと生き残れない。
鴻海の従業員は1年で3~5%が辞めていく。
だから、シャープと鴻海を経営統合することはありえないと思う。どちらの給料体系に合わせても、中間の給料水準にしたとしても、会社運営にひずみが生じてしまう。
だから、シャープは研究開発を担当する会社であり、鴻海は、生産を担当する会社というように役割を分担すれば、お互いの給料水準を変えること無く、お互いの強みを活かした相乗効果が期待できると思う。
郭台銘董事長には、そのような経営を期待したい!