三菱自動車 走行抵抗不正の真相を検証
今日の三菱自動車の会見は見ましたでしょうか?
この記者会見を見た率直な印象としては、『随分と必要以上に叩かれたな』
という印象を受けました。
たしかに不正があったので、悪いことではあるのですが、
それ以上に、一連のマスコミの報道を含めて勉強不足だな?と思うところも多々あるのです。
マスコミは、過去の二度のリコール隠しから連想して、三菱自動車の悪い体質を洗い出そうとしているように見えます。
以下のようにマスコミは騒いでますが、、、
- ミスを上に報告できない空気なんじゃないのか?
- 風通しの悪さが不正に結びついている?
- セクショナリズムで仕事しているから、別部署の仕事は他人事
- 三菱自動車は『隠蔽体質』なのでは?
私が記者会見を見た印象としては、社長や副社長は事実に即して正確に答えようとしている姿が見て取れた。
今回は走行抵抗の実測や、そのデータをどのようにデータ処理するかが不適切であったのだが、これは非常に難しい。
というのは、測定であるから必ず誤差が生じる。その誤差とは、言い換えると『ウソ』になる。
誤差は、温度、路面状況、空気圧などによって変わってしまうので、測定データのばらつきを本来は考慮する必要があるが、全ての異なる環境条件でデータ測定することは工数、金銭的な理由から現実的ではない。
通常4回程度の同じ環境条件で測定して、データの代表的な中央値を測定データとするようだが、中央値ではなく、燃費に有利なデータを採用したとしても、そのデータも測定データの1つだから、燃費計算した時に、そうなる可能性がある測定データだとも思えるのです。
ここで、三菱自動車の内部調査の内容をまとめると、2つに集約できます。
- 高速惰行法で測定して惰行法での結果に換算した
- 何回か計測したデータのうちで、一番走行抵抗が小さいものを採用した
この2つが事実だとすると、これだけで燃費が10%程度もズレる原因になりそうな気がしないです。
というのは、高速惰行法の測定データを惰行法で換算しても、測定された車両が違っていなければ、誤差は少ないように思う。三菱自動車の調べでは、高速惰行法と惰行法とで実際より2.3%のズレが生じるそうです。
もし、これが実際には燃費が良いのに悪い数値で国交省に申告していました!と言ったら、問題にはならなかったでしょう。
実際は悪いのに、良いように申告してしまったから問題になっています。
でも、測定データなので誤差は必ず生じます。
それは仕方がない。
実は、全ての測定で生じた誤差が最終的に『ウソ』にならないようにすることは、世間一般の人が思うより難しいと思います。
というのは、開発に関わっている人が下手すると数千人単位いるから、他の部署でやっていることが正しいのかどうかや、どんな事をしているのかすら正確に把握している人は全く居ないと言って良いと思います。
それはこのような不具合を出していないトヨタですら全てを把握している人はいません。
みんなが仕事を専業化することで効率よく仕事をしているわけですから。
だから、最初に書いたセクショナリズムが悪いとか、風通しが悪いとか、ミスを上に報告できないとか隠蔽体質とか、そのようなことで語られる次元ではないと思うのです。
ちょっとマスコミの方には勉強不足を感じます。
重要なのは、燃費は積み重ねなので、トータルで『ウソ』にならないための配慮が必要なのだと思います。
そのためには、各部署がデータの扱いに対して上手なさじ加減が必要なのではないかと思われます。それはかなりの経験が必要なのだと思います。
性能実験部長が『私が指示をした』と言っているようですが、実際、おかしいと思うのは、走行抵抗値が悪かったとして、性能実験部長にどのような落ち度があるのでしょうか?性能実験の部署だとすれば、設計ではないので出来たものに責任はなく、正確にテストして数値化するのが仕事で、性能が悪いからといって、数値をよく見せる必要のない人物では無いかと私なら疑います。
マスコミから今日の記者会見でそのような質問は無かったですよね。。。
三菱自動車が不正で悪いのは分かっています。
でも過去の2度のリコール隠しとは、今回の不正はレベルが違うように感じます。
僕には、あまり悪意が感じられません。
これは全て個人的な意見です。
<燃費試験における不正行為に係る国土交通省への報告>