研究開発者のブログ

最近、うちの会社辞める人が多いんだけど大丈夫なのか???

ソニーのロボット事業やディープラーニング分野が成功するには

ソニーは、出井社長の時代を境に元気がなくなっていくのですが、ソニーで長年研究開発の部門を引っ張ってきた土井利忠さんのように、出井さんを批判する記事は多い。

electricalengineer.hatenablog.com

この記事の中では、AIBOやQRIOといったロボット事業を2004年に土井さん主導で立ち上げたのだが、ロボットは出井さんの指示した事業ではなかったため、出井さんは『ロボット事業の撤退を命令した』という経緯があります。

今となっては、はっきりと出井さんより土井さんの方が正しかったと言えると断言します。

 

というのも、ソニーはロボット事業に再参入を表明しました。

www.sankei.com

 しかもファンドまで新設して総額100億円規模で人工知能やロボット分野の研究開発に投資をしていくとの事です。

四足ロボットで有名なボストン・ダイナミクスをトヨタの人工知能研究会社で買収するのではと言われていますが、もしかして、ソニーがボストン・ダイナミクスを買収するかもしれませんね。

ただ100億円では少ない感じがします。

というのは、一番ディープラーニングで有名な会社は、Deep Mind Technologiesというイギリスの会社ですが、2014年、約420億円で、グーグルが買収しました。

中国のBaiduはシリコンバレーに人工知能の研究所を2013年に作りましたが、スタンフォード大学のAndrew Ng教授を研究所所長に迎えて、約300億円を研究予算として投資しています。

フェイスブックは、人工知能研究所を2013年に設立して、Yann LeCun教授を所長に招いています。

さらにフェイスブックはVicarious社へ約42億円の投資をしています。

最近になってディープラーニングの世界は、企業の買収合戦が活発ですが、今から参入するには遅すぎる感じがあります。

もし、ディープラーニングの研究を自社内で加速させたいのであれば、

今は、『急がばまわれ』で社内の優秀な人材を育てるくらいでも遅くないのではないかと思います。

投資を始めるのに一番良かった時期は、土井さんがAIBOを発売したのが2006年ですから、今から10年前です。

そのあと、人工知能の先端研究所も立ち上げていますから、その研究所をたとえば、100人規模で運営したとして、派手にお金を使っても年間20億円くらいではないかと思います。おそらく本当に必要な経費だけに絞れば10億円もかからないでしょうね。

そうすると、10年間で100億円です。(細々とでも続けて欲しかった)

今回投資すると宣言している金額も100億円ですよね。

最終的に、『技術は報告書という形よりも人に残る』と考えると、投資した額は、社員という形で残せるのが会社としてはベストです。

先に述べたトロンと大学Hinton教授やスタンフォード大学Andrew教授、ニューヨーク大学Yann教授などを雇うのは数億を超える高額です。

なおかつ、その教授らのモチベーションはお金ではなく、自分がやりたいこと、興味のあることです。

ソニーの社員なら、高くても2000万円で済みます。

そして、ソニーなら愛社精神で仕事してくれることでしょう。

 そのように考えると、今から100億円投資してロボットやディープラーニングを研究開発するなら、まずはディープラーニング界のスターを集めるのではなく、将来有望な人材を集めて、死ぬほど勉強させたほうが良いと思う。

その結果として、数年は成果が出ませんが、それは将来どうなるか分からない人工知能の世界だから、数年で成果が出ているように見繕うよりも、10年後の将来を見据えて今は、基礎を固める時期なのだと思う。

ここは、経営者の忍耐と、技術者の頑張り、優れた戦略が、将来の明暗を分けると思う。

100億円の投資がムダに終わらないよう、将来を見据えて確実に基礎固めから、戦略的に包囲網を形成し、グーグルやフェイスブックを出し抜いていくくらいの事を遠い将来に達成できるくらいに上手に人を使った経営をして欲しいと思っています。