研究開発者のブログ

最近、うちの会社辞める人が多いんだけど大丈夫なのか???

日産ノートe-powerをレンタルして性能評価してみた

日産のノートe-powerが11月2日の販売開始以来かなり売れています。

日産としては33年ぶりに2016年11月の1ヶ月間での売上販売台数1位を獲得しました。日産レンタカーが各店舗に一台づつ導入して販売台数に貢献したようですが、日産レンタカーの店舗数は360店しかありませんので、合計360台が加算されても、トータル15784台売れている事から、実力で月間販売台数1位を獲得したんだと判断しています。日産すごい!

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ずっとトヨタのプリウスが販売台数1位だったのに、販売開始した11月だけかもしれませんが、抜いてしまったことは日産にとって、すごい意味のある事だと思います。

その意味とは、お客さんの関心の高さや日産が1番最初に作ったというところに、日産の勢いを感じます。

そこで、日産ノートe-powerはどんなクルマなのか?と興味が湧いたので、

日産レンタカーでノートe-powerを1日借りて伊豆までドライブしてきました。。

ディーラーでの試乗ではなく、1日走っての評価を報告します。

今回のノートe-powerの実燃費は24.26km/lでした。

 

日産レンタカーでの評判

ノートe-powerは日産レンタカーで借りられます。スタッフ曰く各店舗に一台づつ導入されているそうです。僕が借りたクルマは、まだ走行距離が1000km未満だったので、ほぼ新車ですね。

スタッフさんにノートe-powerの評判を聞いてみました。

まだあまり乗られていないので、お客様からの評判は貰えてないようでしたが、スタッフさんが運転した印象だと、あまり好きではないとの評価でした。

ガソリンエンジンとは違ったところに違和感を感じたそうです。

一般人にはエンジン車に慣れ親しんでいるから違和感を感じるのか???。。。

僕が考えるには、エンジンとモータは全く違うものだから、モータを使ってエンジン車と同じにしようと思っても無理があるし、それによる損失の方が大きいと思います。

それよりはモータを使った電気自動車は電気自動車らしく、モータの特徴を最大限活かしたような設定にした方が気持ちよく走れると思う。それがエンジン車とは違うかもしれないけれど、その違いを恐れてはいけないと思う。

どんな物でもマイナーな物を好きになる人は居るし、将来的に電気自動車はメジャーになる可能性を秘めていると強く思っています。

とはいえ、一般の人に受け入れられるには、まだ時間がかかりそうだって事も、この日産レンタカーでのヒアリングで感じました。。。

日産ノートe-powerの試乗インプレッション

今回のドライブの走行経路は下図のとおりです。

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東名高速道路を使って沼津まで行き、伊豆中央道路や修善寺道路を通って、浄蓮の滝まで行って戻ってくるルートなので、都心でのストップアンドゴーや渋滞はほぼ無く、ほとんど高速走行を予定。トータル走行距離は350kmくらいかな?と予想して出発!

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高速道路を走行すると、モータの場合は燃費が悪くなります。

電気自動車のリーフの場合、100km/h以上の高速で走ろうものなら、どんどんバッテリー容量が減っていって、走り方にも依りますが100kmくらいで電欠(ガス欠)になってしまいそうです。ガソリンは要らないけれど、再充電して100kmくらい走るには、家庭用100Vで8時間くらい充電が必要です。高速道路のサービスエリアには急速充電できる設備があるので、その設備を使えば、30分でバッテリーを80%まで充電できます。

今回のドライブは350kmくらいを走るので、リーフなら途中2回それぞれ急速充電で0.5~1時間くらいの充電時間が必要になってしまいます。。。

もちろんノートe-powerなら、充電は全く要りません。その代わりガソリンを給油する必要はあります。今回350kmくらい走りましたが、途中で給油することはなく、日産レンタカーに返す前に満タンにして返しただけで済みました。(燃費のご報告は後ほど)

ノートe-powerは電気自動車と同じようにモータで走るのに充電に時間がかかる煩わしさが無く、ガソリンを入れれば何時間でも走れてしまう所が良いですね。

このようなシステムは昔からアイデアはあったようですが、アイデアを初めて量産したのが日産です。出来なかったことを最初にやったのですから日産が言うように「もはや発明である」と言っても言い過ぎではないように感じます。スバルやホンダも同じシステムを検討していたという話もあります。でもスバルとホンダは開発を中止してしまったらしいです。

結局最初に『やっちゃった』のは日産でした!

では技術的に何がエンジン車やハイブリッド車と違うのか?についてですが、下図のように

電気自動車と違う所はエンジンが付いていること、そして、エンジンで発電した電気を使うので、バッテリー容量が電気自動車よりも少なくて済む所がポイントです。

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エンジンの欠点はドライバーの加速要求に対して、少し遅れて反応してしまう点にあります。それを補う意味を含めてハイブリッド車は、モータでエンジンが遅れてしまう所を補ったりしているのですが、そうすると、エンジンが回っていないのにクルマは加速するという違和感をドライバーが抱いてしまいます。

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それが全てモータでクルマを駆動していれば、ドライバーの意志に素早く反応出来るクルマになります。

実際に伊豆までドライブして来ましたが、アクセル開度に対する反応はとても気持ちが良かったです。特に既に高速道路で十分な速度が出ている状態から加速しようとしても素早く加速します。これがガソリン車やハイブリッド車だと、ギアを下げてトルクを出そうとしますので、その間のタイムラグが非常にストレスに感じるのですが、ノートe-powerには、そのようなストレス無く加速しているのを体感できました。

 運転していて気持ち良いのがノートe-powerの特徴だと思います。

日産ノートe-powerのモード走行の違い

 浄蓮の滝付近では、ちょっと峠を攻めてみました。

ノートe-powerには、3つの走行モードがあります。

ガソリン車が減速する際はエンジンブレーキと摩擦ブレーキの両方を使って減速するのですが、駆動源がモータの場合、モータが逆トルクを出すことによって、クルマを減速させることが出来ます。モータの逆トルク指令では、発電していますので、減速したエネルギーをバッテリーに蓄えることが出来ます。なので、モータの逆トルクを使った減速を使わない手はありません。

これがエンジン車との最大の違いを生みます。

特に電気自動車は航続距離に難があると言われているわけだから、減速時のエネルギーをバッテリーに戻して出来るだけたくさん走れるようにする方が良いに決まっています。

これを上手に実現する方法がワンペダルドライブと言われる技術です。実はワンペダルドライブは、BMWのi3というクルマに採用されています。おそらく特許性は無いと思います。

ワンペダルドライブとは、ブレーキペダルを使わないで、アクセルを踏んでいる際は、正のトルクを出して加速と速度維持を行います。そして、アクセルペダルを離すと、逆トルクが発生してブレーキペダルを踏まなくても減速してクルマが止まるように出来ています。

ノートe-powerでは、ノーマル、Sモード、エコモードのうち、Sモードとエコモードに設定するとワンペダルドライブ走行になります。

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ノートe-powerでは、ノーマルモードのままだと、アクセルペダルを離すと、エンジンブレーキほどの減速し、最終的にはクリープトルクが発生します。

だから、ノーマルモードではアクセルを離し続けてもクルマは止まりません。

SモードとECOモードでは、アクセルペダルを離すと クルマが停止するまで(おそらく0.1G程度の減速度で)減速し、停止したら、そこが登り道だろうと、その場で停止してズリ下がったりしません。おそらくEPB(電動パーキングブレーキ)が働いているのだと思います。

そのセッティングに違和感はありません。非常に良く出来ています。僕が感じたのは、このようなセッティングは突貫工事で開発出来るわけありませんから、長い月日をかけて熟成させたのだろうと思いました。実際、日産のノートe-power発表会では、このシステムを開発するのに10年かかったと発表しています。たしかに、いろいろなセッティングやシステムに関してよく考えられて出来ていると感心しました。

たとえば、峠で深いカーブを曲がる際もカーブ出前で上りでも下りでもアクセルを離せばちょうど良い具合に減速してくれます。あとは、ハンドルを切って再度アクセルをふむだけですから、ブレーキを踏む必要がありません。(だから、ワンペダルと呼ぶのですね)実際に、今回のドライブでブレーキを踏んだのは、5~6回くらいしか記憶にありません。信号で停止する際はアクセルを離せば勝手にクルマは止まります。ただし、止まりたい位置よりも手前で止まってしまうことがあります。その際は、軽くアクセルを踏むと必要なだけクルマを前に進めることが出来ます。

Sモードおよびエコモードでアクセルを離した状態でクルマが止まってから、ブレーキを踏んでブレーキペダルを離すと、今度はクリープトルクが発生します。非常に良く考えられています。とにかく操作最小限で運転が出来るようになっています。もしブレーキを踏まずにクルマが止まった状態でアクセルを踏めば、前に進んでくれます。

実際的な使い方としては、3つのモードがあるのですが、それぞれのモードの運転には慣れが必要なので、道によってモードを変えるような使い方は操作し難いと思います。出来たら自分の好きなモードで常に走るのが1番良いでしょう。

また、コーナリング中のトルク制限ですが、リーフと比較すると、リーフではコーナリング中にトルク制限がかかるために曲がる面白さは半減していました。しかし、ノートe-powerは、トルク制限がありませんので、楽しく曲がることが出来ます。

どちらのクルマもVDCといって車両が滑った時には、スピンを抑えるような制御するモジュールが装備されているので、コーナリング中のトルク制限をする必要は無いと思うのですが、リーフにはトルク制限が入っています。

例えばそんな所がリーフはあまり良く考えられていないように感じられますし、ノートe-powerは、すごく良く考えて作られているように感じました。

 

日産ノートe-powerの静粛性

 モータで走行するので、エンジンよりは静かな室内が期待出来ます。でもモータ特有の高い周波数のキーンという音があったら嫌ですよね。

実際、ノートe-powerではボディの要所に遮音対策を強化したそうです。

たとえば、フロントガラス板厚化やドアシーリング材追加、ドア吸音材増量、シール材追加、インシュレータ追加などです。

そのかいあってか、モータ音はあまり聞こえません。それよりエンジン音の方が聞こえます。

特にアクセルを踏み増した加速時は、エンジンの回転数を上げてますので、エンジン音が良く聞こえます。このエンジン音は加速にマッチしていて心地よさを感じました。

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ただ、下り坂を走行中、アクセルを離している状態では、エンジンは停止しているのですが、”ブオーン”という音がずっと聞こえていました。モータによって減速しているので逆トルクによる回生しているのですが、”ブオーン”という音は重低音でしたので、モータの回生音だとは思えませんでした。モータの回生による発熱を抑えるためのファンが回っていたのかもしれません。。。

 

日産ノートe-powerのネガティブな部分は?

 良い部分ばかりが目立ったノートe-powerですが、気になった点は2つほどあります。

エアコン温度調整のHIGHボタンとハザードランプを間違えた(ネガその1)

 こんな間違いをするのは僕だけかもしれませんが、日産レンタカーで車両が引き渡された際、ハザードランプが点滅したままだったのですが、ハザードを消そうと、下図の下赤丸の部分を何回も押してました。それは、エアコンの温度を上げるためのHIGHボタンだったのですが、上の方がハザードボタンがあるのを気付くのに時間がかかりました。エアコン操作のパネルがすごく目立つんですよね。。。

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高速走行で車両が跳ねる(ネガその2)

ノートe-powerを高速道路で運転していて非常に気になったのが、車両が跳ねることでした。一台しか乗っていないので、それが借りた車体固有の問題なのか、ノートe-powerがそのようなセッティングなのか分かりませんが、借りたクルマはほぼ新車でしたから、ノートe-powerがちょっと高速走行で車両が跳ねるようなサスの傾向があるのかもしれません。何かスタビライザーの味付けをちょっと変えるだけで高速での安定性が良くなりそうな気もしました。

 

日産ノートe-powerの実燃費を計算してみた

 e-powerはエンジン車に比べて45万円程度価格が高くなっています。

その分、燃費が良かったら良いですよね。

ノートe-powerには、メータパネルに燃費の表示があります。

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 朝借りた時には、19.4km/l、ノーマルモードでした。

僕は1日、ほとんどSモードで走行しました。高速走行が多かったにも関わらずSモードでメータ表示での燃費は19.9km/lと良くなっている事から、Sモードの方がノーマルモードより燃費が良いのかもしれませんね。あくまで僕の推論です。

さて、今回1日364km走行して、最後ガソリンスタンドで満タンにした際の給油量は15リットルでした。燃費に換算すると24.26km/lですね。

メータ表示の燃費より実燃費はだいぶ良い結果でした。

今回高速走行でした。街中走行であればもっと燃費が良いかもしれません。

都内を走行している間にメータ燃費が良くなっていった傾向が見られました。

ノートe-powerのガソリンタンク容量はスペック上41リットルなので、

単純計算で41☓24.26=994kmを一回の給油で走行出来ます。

ノートe-powerは電気自動車の航続距離が短いという欠点を克服した良いクルマだと思います!

 

伊豆でのおまけ写真

 さて、伊豆の浄蓮の滝周辺までドライブしたので、その際に取った写真なども公開します。まずは今回試乗したノートe-powerはこんな感じです。

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本当にきれいなレンタカーで新車に乗るのは気持ちが良いですね♪

ドライブして良かった。そして、ココにクルマを置いて浄蓮の滝を楽しみます。

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やっぱり『わさびソフト』は有名ですね。今回食べませんでした。

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浄蓮の滝は、駐車場から長い坂を下っていきます。。。

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途中での売店に着きました。なにやら、滝の下流で釣りが出来るらしいです。

ニジマスとかアマゴが釣れるらしいです。竿を貸してくれて、餌を買ってつければ釣りが出来てしまいます。釣った魚を入れておくビクも貸してくれます。

まさに手ぶらで来て釣りが楽しめるそうです。。。

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そして、歩くこと数分、浄蓮の滝に到着しました。

マイナスイオンでリフレッシュな感じです!

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そして、下流に歩いていくと本当に釣りをしている人がいました!

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ずっと見ていたけど、あまり釣れていない様なのですが、、、

と思っていたら、なにやら怪しい動きをしているおばちゃんを発見???

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このおばちゃん、たしか売店に居たような。。。

次の瞬間!、えっ。あぁ。まさか。。。バケツの中を川に投げ入れた。。。

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魚を放流している。。。しかもその方法が分かりやすい。。。

 すると、3分も経たないうちに、、、

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 魚が釣れた!!!

 しかも釣ったのは明らかに素人女性。

 さらには。。。。

このおばちゃんが別の女性に何やらアドバイスを送ると。。。

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 アドバイスが効いたのか、この女性も釣れた!

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負けじと、おじさんもアドバイスを聞きつけて釣った!

たぶん。。。

餌を与えてない魚を放流してるんでしょうね。

魚が痩せ細っています。。。

手軽に釣りが楽しめるのは良いことだと思います。。。

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やっぱり伊豆は『わさび』が有名ですね。

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昔、『伊豆の踊り子』って小説を読んだ気がするけど、内容は覚えてません。

僕は三島由紀夫を方が好きです。これはあくまで個人的な見解です。。。

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そうこうしている間に、お腹がすいたので、そばとわさび丼を食べに行きました。

こんなに『わさび』は要らない感じがするけど、、、

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わさびを付けすぎて、鼻がおかしくなりそう。。。

そばは美味しいです。

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帰りは、足柄サービスエリアに寄って、、、

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しらすと桜えび丼を食べました。。。

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 今日一日は楽しかったです。

そしてそれ以上にノートe-power欲しいなぁと思いました。

BMWのi3とは別物だけど、i3より洗練されている感じがしました。

そんなクルマが車両価格200万円で買えてしまうなんて、、、都内に住んでいたらクルマは要らないという考えの持ち主でしたが、ノートe-powerなら買っても良いかなと思いました!!! やるな日産!