不動産投資の収益シミュレーション
不動産投資を成功させるコツは、大きく分けて3つのポイントがあります。
- 良い物件は早い者勝ちなので、素早く優良物件を見つける目を養う
- 購入後の収益を数値化して不動産投資の戦略を しっかりと立てる
- 税制を熟知して不動産投資の収益を改善する
以前は、『金融機関から低金利で融資を受ける』というのも成功のコツでしたが、今のマイナス金利の世の中では、誰でも低金利で借りれます。
最近の不動産投資は以前に比べると障壁が低くなっているように感じます。
不動産投資は、お金を借りるのに与信が重要で、与信は個人事業主よりもサラリーマンの方が安定した収入がある分、与信が高いですので、将来独立を考えている様な方であれば、サラリーマンのうちに不動産投資を始めた方が不労所得を得やすいでしょうね。
不動産を持ってから独立しても困ることはありません。
また、会社員をしながら、ダブルインカムで、ずっとサラリーマン大家をしていると余裕のある生活を楽しめます。
(個人事業主の方でも3年以上安定した収入があれば大丈夫です)
それでは、どうやって収益性の高い優良な物件を見つけ出し、不動産投資を始めていけばよいのでしょうか?
物件資産の評価方法や、家賃と借りたお金、税金、経費からどのように収益を計算していくのかを説明していきたいと思います。
今回収益シミュレーションする物件情報
以下のような物件があったとします。
このようなチラシの事を不動産業界ではマイソクと呼んでいます。
このマイソクから分かることは、
これだけの情報では不動産投資の収益シミュレーションは出来ません。
もともと不動産投資をしている人にとってマイソクは、これを見て詳細検討に入るかどうかを1~3分程度マイソクを眺めて決めるためのものです。
このマイソクは見た瞬間に詳細検討しようと思うレベルです。
理由は、価格の割に土地面積、建物床面積が広いので、資産価値が高そうだと思ったからです。
次には、不動産投資の収益シミュレーションするために必要な情報を不動産会社に問い合わせます。
通常、不動産会社の問い合わせ先はマイソクの下に書かれています。
不動産会社には、レントロール、固定資産税、地方税を問い合わせします。
レントロールとは、家賃明細表と呼ばれ、各部屋ごとの家賃、共益費、敷金、契約開始日が書かれています。契約開始日は無いことが多いです。
このレントロールから、年間の家賃収入と現在空き部屋がどの程度あるのかが分かります。
以下の表が不動産屋から頂いたレントロールです。
このレントロールを見ると、満室なのか?と思いました。
実際に入居している部屋がいくつあるかは、現場に行くまでわかりません。
不動産屋さんから聞いた話と違う場合も多いです。
なので、現場に行った際は、必ず住んでいる気配があるかどうか?
さらには、電気のメーターを見て、止まっていないかどうか(止まっていれば住んでいない確率高い)をチェックします。
現場に見に行くと、入居中の部屋は3部屋だけでした。。残り5部屋は空き家。。。
この結果から、家賃も疑って考える必要があると思いました。
そこで、周辺の家賃相場を簡単に調べてみた所、普通なら5.5万円。5万円で設定したら、確実にお得感のある部屋だなと思いました。
そこで、シミュレーションでは、一律家賃5万円で検討します。
8部屋あるので、40万円/月、480万円/年の家賃収入としてシミュレーションします。
建物が古くなると、値引き交渉してくる住居人も現れるので、出来たら家賃は余裕のある設定が望ましいです。
また、空き部屋がある場合は、契約後満室になるまでの間、空き部屋の収入が無いので、事業計画(お金を借りるのに必要)を立てる際に考慮する必要があります。
なので、安めの家賃設定でも収益が良好であれば、後々の不動産投資に余裕が出ます。
この物件の資産価値をチェック
物件の価格は2560万円ですが、土地と建物がセットになってますので、土地価格と建物価格に分けなければなりません。
もし区分マンションを購入する場合は、区分マンションの土地割り当て分が明確に決まっていますので、その按分比で価格を分けて考えます。
土地と建物に何故分けるのかですが、もともと土地は消費するものではないので、消費税はかかりません。しかし、建物は時間とともに劣化していきますので、消費していると捉え、消費税がかかります。
土地価格の計算方法は、国が発表している路線価を使います。
土地の住所が下図の赤丸だった場合、路線価は、青丸の4.0万円/m2と3.7万円/m2の路線に挟まれています。よって、その平均値を取って、3.85万円/m2が国が財産評価する土地の価格と判断します。
土地面積は223.64坪ありますから、
土地の価格は、223.64☓3.3☓3.85=2841万円となります。
実際の取引されている価格は、この2841万円の8がけの3551万円くらいです。
次に、建物の価格ですが、
建物は、建物の構造と築年数によって建築価額表が国税局で定められています。
その表が以下になります。
築28年ですので、昭和63年竣工だとすると、
鉄筋コンクリートの建築価額は17.5千円になります。
これから、建物の評価額は、373.76m2☓17.5=6540万円
となります。建物の評価額だけでも、この物件はお買い得感がありますね。
物件価格から土地価格と建物価格へはどう分ける
物件の販売価格は2560万円でした。
この2560万円を土地の価格と建物の価格に分けなければいけません。
仲介不動産会社と相談して決めることも出来ます。
建物の価格が高ければ、それだけ消費税を高く払う必要がありますし、その分だけ後々減価償却費用を計上できます。
よって、ある程度自分が意図したい割合に設定することも可能です。
今回は、固定資産課税台帳を見て、
土地の評価額が2522万円、建物の評価額が1114万円でしたので、
その割合を2560万円に当てはめて、
土地の価格を1800万円、建物の価格を760万円としました。
建物の減価償却費の計算方法
土地は減価償却できませんが、建物は減価償却が出来ます。
建物の価格を760万円と決めました。これを毎年決められた減価償却分を決算書に計上します。
減価償却は、建物には耐用年数が決められています。
築年数が耐用年数を超えているからといって、住めないわけではありません。
その場合の減価償却期間は以下のように計算します。
減価償却期間=法定耐用年数×20%
築年数が耐用年数内であれば、以下のように計算します。
減価償却期間=(耐用年数ー経過年数)+経過年数×20%
今回の場合は、鉄筋コンクリートの築28年ですから、
減価償却期間=(47-28)+28×20%=19+5=24年
小数点以下は切り捨てで計算します。
よって、減価償却費用は毎年760万円/24年間=31.6万円になります。
不動産投資の収支計画(初年度、年額)
上記まで調べたら、不動産投資の収支を調査していきます。
不動産投資の場合は、売り上げが家賃収入になります。
この売り上げに対して、かかる経費(費用)と税金をまとめたのが以下の表です。
固定資産税額+地方税額に関しては、マイソクに書かれている不動産屋さんに問い合わせしました。
不動産投資のキャッシュフロー
不動産投資では、キャッシュフローが重要です。
それは、不動産という試算でお金を持つか、現金でお金を持つかの違いですが、
後々2軒目を買い増す時など、現金を持っていないと買い増しできなかったり、不測の事態が起こった時に困らないように、出来る限りキャッシュフローをプラスにしておいた方が良いでしょう。
キャッシュフローの計算は以下の表のように計算します。
税引き後利益は、税引き前利益から納税額を引いた額(⑦)になります。
不動産投資のROIと回収期間
ROIとは、『Return On Investment』の略で、自分が投資した資本(自己投資資本)に対して得られる利益の割合を示します。得られた利益を投資額で割って計算します。
一般的に割合を100倍してパーセンテージで表すことが多いです。
ここでは、1年間で得られるROI[%]を計算します。
また、回収期間[年]とは、自分が投資した資本を何年で回収できたかを示します。
ROIは20%程度を目安とします。すると、回収期間が5年になりますので、
5年後には、次の不動産を狙っていきます。
ROIが20%より良い場合は、次の不動産投資が早く出来ますので、ROIが良い物件を探すことが重要になります。
不動産投資の利回り
不動産投資には、3つの利回りがあります。
表面利回りと実質利回りと、実利回りの3つです。
最終的に不動産投資が良いものかどうかは実利回りで判断します。
今回の場合は、以下の表のような計算になります。
実質利回りは、2.5%以上であれば、良しと判断しています。
銀行など金融機関から融資を受けた場合の金利シミュレーション
不動産投資をするのに、物件を現金で購入できるほどの資金力があれば、その分お金を借りた場合の金利負担が減りますので、お金が貯まりやすいように感じることでしょう。
しかし、自分の手持ち資金が無くなりますので、次の不動産を購入できなくなってしまいます。
だから、出来るだけ物件購入時は、お金を出さないようにしたいです。
では、お金を銀行などの金融機関から借りた場合、どの程度金利分を支払う必要があるかは、計算でシミュレーションできます。
お金の借り方には元利均等返済と元金均等返済があります。
元利均等返済と元金均等返済のメリットデメリットは下表のとおりです。
元金均等返済の最大のメリットは、トータルでの利息が少なくて済みます 。
ここでは良く使われる元利均等返済での例を示します。
条件を以下の様に定めます。
上記3項目が決まると、月々返済額が決まります。
上表の条件の場合の月々返済額は、以下の様な計算になります。
月々返済額=$\frac{BC\times rate\div12}{1-\frac{1}{\left\{1+\frac{rate}{12}\right\}^{period\times12}}}$ =173379[円]
この月々返済額は、返し終わるまで変更はありません。
初月支払いの内、利息分は、$BC\times rate\div12$=1950万円☓0.013/12=21125円
となります。
初月返済元金は、172279-21125=152254円
となります。
次月は、借入金額が1950万円ー152254円として逐次計算します。
このように、月々の返済額は変わりませんが、月毎に借入金額は減っていき、
徐々に返済利息が減って、返済元金が 増えていく形になります。
下の図は、2年目終了までの返済利息と返済元金の一覧です。
年度ごとの収益を考える
不動産投資では、上記のような1年目の収益を算出することが非常に大切です。
この計算をしないと、自分が購入しようとしている収益物件が、正しい買い物なのかどうかが分かりません。
通常、ここまでの算出が出来れば不動産投資の中級者だと思います。
しかし、さらに上級者向けに収益物件購入後から年度ごとの収益がどのようになるのかを算出してみたいと思います。
この年度ごとの収益を算出することで、『収益物件を何年持って、それ以降は売却する』などの不動産投資の戦略を購入前に立てられるのです。
年度ごとの収益を計算するには、1年毎の利息と返済元金を計算します。
(下表参照)
このデータを元にして、1年毎の収益を計算します。
借入金額1950万円を10年間で返済する計画ですが、その間に、キャッシュフローがマイナスになる年がありません。ここがポイントです。
収益物件次第では、初年度はキャッシュフローがプラスであったとしても、返済までにマイナスになってしまうことが良くあります。
途中でキャッシュフローがマイナスになるような物件を購入することはあまりお勧めしませんが、もし購入されるのであれば、キャッシュフローがマイナスになる前に転売してしまうのが良いでしょう。
このような不動産投資の戦略的判断を確実に行うために毎年のキャッシュフローと数値化します。
不動産投資の収益を改善する方法
収益を改善する方法はいくつかあります。
たとえば、今回の収益シミュレーションの納税額は毎年100万円以上支払う事になっていますが、いろいろな出費を経費として計上することで納税額を抑えることも出来ます。
納税額が減れば、その分は利益と同等ですよね。
また、収益物件を購入する際には、土地には消費税がかかりませんが、建物には消費税がかかります。
今回の場合、建物の価格を760万円としましたので、
760万円×8%=60.8万円を消費税として納付しなければいけません。
そこで、消費税簡易課税制度選択届出手続きをすることで、
自分が支払った消費税分から自分の売り上げで預かった消費税分を相殺して国税局に届け出ることが出来るのです。
たとえば自動販売機を不動産物件に設置して、自販機からの売り上げで預かった消費税がたとえば、0.8万円あった場合、
トータルで考えて、60.8万円ー0.8万円=60万円を払い過ぎの消費税分として国税局から還付してもらう(戻してもらう)ことが出来るのです。
いろいろなテクニックを総合的に使って不動産投資を事業として成り立たせることが、不動産投資のコツでもあります。
さらに詳細の不動産投資を学ぶには
不動産投資は投資額が大きいからこそ、失敗できません。
最低でもトントンに持って行きたいところです。
しかし、上記でも述べたように、ほんの数%の違いで収益が変わってしまいます。
だから、情報を仕入れる事は重要です。
私が今まで学んだセミナー等の中で、情報が濃かったのがファイナンシャルアカデミーでした。
ファイナンシャルアカデミーの『不動産投資の学校』は非常に高いですが、これを学んだら恐らく不動産投資の全てを学べると思います。
時間のある時にこの『無料体験学習会』に参加するだけでもかなり勉強になります。
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