研究開発者のブログ

最近、うちの会社辞める人が多いんだけど大丈夫なのか???

経営の本質を捉えたトヨタの組織変更がスゴイ

biz-journal.jp

トヨタの組織変更が話題になっています。

トヨタがカンパニー制を導入します。

今はまだ別会社になっていませんが、最終的にはカンパニーが別会社になると私は考えています。

トヨタの組織変更はどう変わる?

トヨタのカンパニー制は突拍子の無いことではなく、たとえばホンダでは既に本田技研工業と本田技術研究所のように、本社機能と研究開発機能で別会社になっています。

トヨタには、ヴィッツのような小型車からレクサスのような高級車まで製造しており、車種ごとに粗利が違い、高級車の方が儲かる。

しかし、高級車だけを作っていては先細りだったり、人気が無くなったら利益が出ないという不安定を抱えることになる。

今回のトヨタは、『小型車』、『乗用車』、『商用車』、『高級車』という車種ごとの区分けと、技術系の『先進技術』、『パワートレーン』、『コネクティッド』の3つの区分けです。

またさらに、地域別事業責任として、『第1トヨタ』、『第2トヨタ』があり、第1トヨタは、日本、北米、ヨーロッパなどの先進国を担当し、第2トヨタは、中国、東南アジア、中南米などの新興国を担当しています。

技術の面でいうと、『先進技術』、『パワートレーン』、『コネクティッド』、この3つの分け方は非常に良いと思います。なぜならば、この3つは技術的には全く異なる要素を持っています。

『先進技術=メカトロ』、『パワートレーン=メカ』、『コネクティッド=電装(電気)』になるからです。この点はよく考えられています。

ただ、心配なのは、『第1トヨタ』と『第2トヨタ』という区分けですね。

日本、北米、ヨーロッパ、中国、東南アジア、中南米で求められているクルマの形は違うのではないかと思います。『第1トヨタ』と『第2トヨタ』の中でも明確に地域で分かれていると思いますが、それにしても『第1トヨタ』と『第2トヨタ』という区分けをする理由が無いのではないかと思われます。

そう考えると、最終的には、日本、北米、ヨーロッパ、中国、東南アジア、中南米とい区分けでセクションが出来るのではと考えています。

今回の組織体系は経営者、従業員ともに分かりやすい

全ては、車種(4種類)、技術(3技術)、地域(6地域)の3次元でのマトリックスで考える必要があります。

車種という軸で区切って考えるのと、地域という軸で区切って考えると、利益が明確になるから、今は稼ぐ時なのか、育てる時なのかが分かりやすいですね。

経営者からすると、弱い所は速くテコ入れして、強い所は将来に渡って強みを活かせるように仕向けていけば良い。

だから、経営者にとって、分かりやすい組織になったと言える。

次に、技術に関しては、これもまた非常によく考えられていると思います。

もともと、アメリカで豊田章男社長が修羅場をくぐった公聴会の元になったリコール問題ですが、これは、『メカ屋の世界の常識を電装(電気)屋に押し付けた』のが原因でした。

自動車会社は昔からのメカ屋の力が強く、まだ歴史が浅い電気屋の立場は弱いです。

メカ屋の常識を電気屋に押し付けるとおかしなことになるのです。

そうならないように、メカトロ屋、メカ屋、電気屋の3つに分けて、それぞれに責任を負わせ、それぞれがお互いを尊重し、お互いが成り立たせるために、この3つに分けたのだと思います。

その点、トヨタは経営陣が良く現場を見ていると感じました。

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トヨタと日本古来の考え方の相似点は経営の本質

トヨタ組織の変革は常になされていますが、後々に振り返ると常に良い方向に進んでいます。

これは、しっかりとした現状把握から、局所的極大点を狙わず、根本的にどうでなければならないかを考えている姿勢から生まれてくると私は考えています。

トヨタには、コンポン研究所というのがあることをご存知でしょうか?

フラッシュ的なアイデアで仕事を進めていくのではなく、根本から考えぬいて将来をデザインしていく、そんな考え方がトヨタの中にはあります。

Welcome to the Genesis Research Institute, Inc. Homepage

このような考え方に触れた時、日本古来からある考え方との相似点との関連を考えずにはいられません。

日本には、伊勢神宮や出雲大社などにおいて、神宮式年遷宮や大遷宮があります。

これは、神宮式年遷宮は20年毎、大遷宮は60年毎に今まであるものを壊して、新しく作り直す行事です。日本の昔の人は、宮大工の持っている技術が後世に伝承されるよう、遷宮を行ってきたのです。今ある世代だけで良いのではなく、後世がもっと良くなるようにと考えた時、遷宮という行事が採用されたのだと思います。

全ては、『後世がもっと良くなるため』なのです。

一方、豊田章男社長も、言っていることは『もっといいクルマづくり』ですね。

そのために根本的にどうしたら良いかを考えた時に、組織のあり方は、カンパニー制にして、車種や技術でセクションを区切っていく組織体系に至ったのだと思う。

トヨタのような日本古来の考え方を実践しているような会社は、将来にわたって、ずっと世界を平和にすべく、残って欲しいと思っております。