研究開発者のブログ

最近、うちの会社辞める人が多いんだけど大丈夫なのか???

ロッシも驚くヤマハのライディングロボットは技術開発を促進させる

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ヤマハのバイクを運転するライディングロボットが話題ですね。。。

バイクメーカーとして、新しい技術に挑む姿がエンジニアから見ても、ステキに見えます。

バイク上での人間の操作は、非常に複雑です。

クルマの運転中なら、ジュース飲んだり、スマホを操作したり出来ますが、

バイクの運転中は、そんな事をしていたら事故ってしまいます。

人間の能力のすごい所は、自分の今の状態で、必要のない能力は低いレベルのままにして、必要な能力に関しては、コンピューターやセンサーでは全く出来ないような高いレベルで能力を発揮することが出来ます。

フィードバック制御だけではなく、予測制御も含めて全力で能力を発揮しています。

特にバイクのような不安定な乗り物を運転する際には、人間の緊張状態でアドレナリンが出まくり、高い能力を発揮します。

だからバイクのライディングロボットは、難しいと同時に、今の我々の技術で、実現できるのは何処で、まだ足りない技術は何処なのかが分かるという事は、将来のバイクはどうあるべきかの方向性を示してくれます。

今、バイクのライディングロボットを研究開発しているのは、ヤマハだけでしょうから、ヤマハだけが将来バイクの進化を上手に進めていけるのではないかと思います。

バレンティーノ・ロッシを上手く宣伝に使っている所がYAMAHAは商売が上手いです。

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MOTOBOTのロードマップ

実は、ヤマハのMOTOBOTは2015年の東京モーターショーで展示されていました。

その際も、『サーキットでロッシを超越するための人型自立ライディングロボット』であると歌っています。

 すでに2015年には、最高速度100km/hで直進走行、スラローム走行、旋回走行を達成する予定でした。2016年の今、以下の様な記事が出ている所をみると、この目標は達成しているのでしょう。

来年の2017年には、人間の運転を上回るパフォーマンスの要件を解明し、最高速度200km/h以上でのサーキット走行を目指します。

2020年には、MOTOBOT開発で得た知見や要素技術を、ヤマハの新しい価値としてお客様に提供することを目指しているそうです。

2020年に量産バイクにMOTOBOT開発のノウハウが活かされるには、ちょっと早すぎるように感じます。

なぜなら、このロボットはまだまだ改良の余地がありそうで、特にロボット自体のメカ剛性を上げる必要があるように思うからです。 

japanese.engadget.com

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MOTOBOTの今後の方向性ですが、バイクライディングだけでなく、制御プログラムや操作部の形状を乗り物に応じて変更することで、マリンジェットやスノーモービルなどの他のビークルへの展開も可能なように開発しているそうです。

モビリティーの運動制御の最適化は可能でしょうが、高性能化は、あまり期待できないかなと思います。

そして何よりも、このMOTOBOTの一番美味しいところは、より安全なモビリティーの開発にまつわるところでしょうね。ディープラーニングに代表される人工知能によって、車両の異常や道路状況、他車との関係などによって、アラート信号や停止などの注意喚起や、もっと行けるって『Goサイン』が出ることもあるかもしれませんね。

そして、一番ヤマハにとって期待できることは、このMOTOBOTで得た膨大なサーキットテストデータから、ディープラーニングによって、バイクを最適に保つ人工知能が出来てしまえば、MotoGPでトラクション制御やウィリー制御の調整をレースウィーク期間中やレース中にライダーにやってもらう必要がなくなり、3日間かけてやっていたバイク車両のセッティングが電子制御部分はほぼ無くなるのです。

これは、相当なアドバンテージになると思いますね。。

MOTOBOTの仕様

ヤマハのホームページからの引用です。

MOTOBOTは、モーターサイクル本体には手を加えず、人側から見た車両操作にフォーカスしたヒト型自律ライディングロボットです。研究テーマは「Beyond Human Capabilities」。一般的にロボットは用途を特化させることで、人を超越する性能を発揮します。その優位性を生かし、サーキットにおけるラップタイムでバレンティーノ・ロッシに挑みます。この挑戦から得られる知見や高度な要素技術を、製品展開や新たな価値創造に応用していきます。

 モーターサイクル=バイク本体は、ロボットが操縦するための加工や小道具をつけること無く、完全自立でバイクを運転する人型ロボットです。

グーグルの自動運転車は、ハンドルが無いのが特長ですが、ヤマハのロボットは、人間もロボットも同じインターフェイスで運転できる所が特長です。

MOTOBOTは、バイク速度、エンジン回転数、姿勢角度、加速度、角速度、ブレーキ液圧、アクセル開度、ハンドル舵角の情報を元に、ステアリング、アクセル、フロントブレーキ、リアブレーキ、クラッチ、シフトペダルを操作しています。

人間が操作する場合は、体重移動を上手に使っていますが、このロボットでは、体重移動は出来ない仕様になっている様です。

人間の体重移動は、体重移動しているから、高速に旋回できるのだと思いますが、体重移動なしに、どこまでスピード出して曲がれるかが見ものですね。

GPSによる自車の認識は今開発中のようです。ビーコンによる位置認識はできていると思われます。

 また、画像によるコースや他バイクとの距離などの認識はしていないようです。

 画像認識していないのはもったいないですね。

画像認識が出来て、MOTOBOTがサーキットだけでなく、公道を走っていたら怖いですけど。。。