三菱自動車の燃費試験不正方法はVWより稚拙
三菱自動車がやってくれましたね。
今回の燃費データ不正をまとめるとこのようになります。
- 走行抵抗データを5~10%良い値にして国交省に提出
- OEM供給している日産が次期モデル開発のために燃費を測定して発覚
- 低燃費・低排出ガス車認定を受けるためにデータ改ざんしたか
- 性能実験部長(60才台)は『私が指示した』と言っている
- 他車種でも道路運送車両法で定める測定方法を採用していなかった疑い
いろいろと突っ込みどころ満載ですね。
今回の事件に関しては、外部有識者による調査委員会を設置して、客観的で徹底的な調査から詳細が明らかになると思いますが、
燃費の測定方法
燃費の測定方法は、上図のようなシャーシダイナモメータと呼ばれる4つの大きなローターの上に車をおいて、その場で車は走ります。
前からは車速に応じた量の風がファンで流されます。
このシャーシダイナモによって室内で電費が測定できます。
三菱自動車が走行抵抗データを改ざんしたと言っていますが、このシャーシダイナモでは、外を走るのと同じ状態を再現するために、4つのローターにかかる負荷と風量を設定するパラメーターがあります。それが走行抵抗データなのです。
この走行抵抗データはコースティングダウンテストによって決まります。
コースティングダウンテストとは、たとえば、100km/hで走行中に、エンジンを停止すると、車は減速して最後は止まりますよね。その時の車速がどのように変化していったのかによって、タイヤの転がり抵抗と空気が車に当たることによる空気抵抗の2つ合わせたのが、走行抵抗データとなります。
この走行抵抗データは、試験をした時の条件によって変わってしまいます。また、テストで求めた走行抵抗データと、シャーシダイナモの特性は1対1の関係には無く、多少ズレてしまいます。実はシャーシダイナモで実走行と合わせたデータを取るのは、難しい作業なのです。。
不正をする方法は2つしかない
このようなシャーシダイナモを使った電費の測定で不正をしようとすると2つの方法しかありません。
それは、
走行データを改ざんする三菱自動車方式は非常に大胆です。
というのは、三菱自動車は走行抵抗データを10%くらい変えていると思いますが、タイヤの転がり抵抗などは、タイヤを選択した時点で決まってしまいますので、ほとんど常識的な範囲が存在します。
だから、いくら誤差と言っても走行抵抗データの誤差がたとえば10%低かったら、それはおかしいだろう?とちゃんとチェックしていれば分かるはずです。
やり方は、シャーシダイナモでは、前輪タイヤが真っ直ぐ向いたままですので、それを利用しています。
何秒間か前輪タイヤが真っ直ぐのまま走ったら、電費が良くなるモードに切り替わるというものです。
VWのコンピュータプログラムはBOSCHが作っていましたので、VWがそのようなプログラムをBOSCHにテスト用として作ってもらい、それがそのまま市販品に使われてしまったようです。
このVW方式の方が賢いです。
三菱自動車方式では、シャーシダイナモに入力する走行抵抗データを見ればバレてしまうが、VW方式ならシャーシダイナモ上は不正が全く分からない。
分かるとしたら、実走して燃費や排ガス量を図ることになるので、手間がかかります。
結論としては、三菱自動車は非常にお粗末なやり方でデータ改ざんしましたね。。。
その時は良くてもあとあとバレれば怒られてしまう。。。
まるで子供のようなウソのように思えてしまいます。