研究開発者のブログ

最近、うちの会社辞める人が多いんだけど大丈夫なのか???

ドライバー運転集中度センシング技術を用いたセンサーは人工知能の初歩段階だ!

 最近、人工知能を用いた技術開発が盛んになっています。

すでに実用化されている技術もあれば、自動運転のようにこれから発展する技術もあります。

これからのもの作りは、ディープラーニングに代表される人工知能が主流になるのは間違いないように思います。

理由は、いろいろな意味で条件が揃ってきたからなのです。たとえば、ディープラーニングが画像認識という狭い世界ながら人間の能力を超えた。

また、CPUの演算能力は、学習後、学習前で判断する必要があると思うが、ものによっては、実用に耐えうると思われる。

そんな中、オムロンがドライバーの状態を監視する人工知能を搭載した画像センサーを開発したとの発表があった。

www.sankei.com

このセンサーの特長は以下のとおり

  • ドライバーを画像で監視してリアルタイムに危険度レベルを判定
  • 顔の向きの検知や心拍などを検知するセンサーを使用しない
  • ネットワークを使ったデータベースへのアクセスを必要としない
  • 局所的な顔映像と大局的な動作映像の2つを映像として処理している
  • 時系列ディープラーニングを組込み環境で実現した
  • 既存者への後付けや低価格車への搭載も可能

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上図のように、ドライバーの行動や状態を1つのカメラが監視します 。

その画像を局所的な顔情報と、大局的な動作画像とに分けて考え、時系列ディープラーニングによって、運転に適した状態かどうかをリアルタイムに3段階にレベル分けします。

レベルによって、例えば、自動運転中であれば自動から手動に切り替えたり、ドライバーに音とディスプレイ表示、あるいは振動により警告します。

また、センサーが運転できる状態ではないと判断すると、ハザードランプの点滅と同時に安全に路肩にクルマを停車するという事も可能です。

クルマへの取り付けは、下図のようになります。

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 このオムロンのセンサーは、メーカーオプションで最初は発売されると思いますが、そのうちクルマに取り付けて使用できる商品も販売されると思います。

 

 ドライバー集中度センサーの人工知能における立ち位置

最近の人工知能は、ディープラーニングを中心にようやく使えるレベルになってきました。それを実現しているのは、インターネットの世界です。

グーグルやフェイスブックでは、画像の中に人の顔を認識して誰が写っているのかタグ付け出来るようになっています。

その他、将棋や囲碁などの正解でも人工知能を使ったアルゴリズムは強いですね。

ようやく性能が向上したディープラーニングですが、現在は画像の中から特長を抽出したり、限定された環境下でのアルゴリズムに適用されていました。

では、今後はどのような発展が期待できるのでしょうか?

ディープラーニングの発展は、6段階が考えられます。以下の6つです。

現段階は、まだ1のレベルです。

  1.  画像(画像から特徴量を抽出する)
  2. マルチモーダル(映像、センサーから特徴量を抽出する)
  3. ロボティクス(行動と観測データから特徴量を抽出する)
  4. インタラクション(外界の特徴量を引き出す)
  5. 言葉とのひもづけ(高次特徴量を言語とひもづける)
  6. 言語から知識の獲得(言語データの大量入力からさらに抽象化を行う)

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 この6レベルからすると、オムロンのドライバー集中度センサーの様なセンサーから特徴量を抽出するのは、レベル2です。

ようやくそこまで来たという感じです。

要するに今までは画像から特徴を抽出していました。

次は、画像の時系列から特徴を抽出します。ということです。

オムロンのセンサーが出来ると、次にはネット以外の動きのある物へと対象が移ってきます。

クルマの自動運転などです。

ですが、そこまでいくには、まだ時間がかかりそうなので、当分はオムロンのセンサーのように、異常検知などに使われていって、周辺環境のセンシングが十分に出来るようになってから、レベル3のクルマの自動運転に行くと思います。

その他でいうと、カーナビの音声認識や、目的地設定などにもディープラーニングが使われるのではないかと思います。

 

ディープラーニングをクルマに適用する際の懸案点

 ディープラーニングをクルマに適用する際、一番の心配事は、どうやってディープラーニングが正しいと証明するかですね。

それが証明できないと自動車会社として、クルマのメーカオプションもしくは、標準装備には出来ないです。

そうでないと、万が一、事故が起こって訴訟されたら、メーカーとしての製造者責任を果たせません。

世の中全体としてみたら、ディープラーニングによるデバイス採用で、確実に事故が減っているのであれば、それで良いような気がします。

しかし、不完全なデバイスだとしても、人間が操作するよりは、事故が防げるという統計が取れたとしても、そのようなデータでは、訴訟で説明が出来ませんよね。

製品化への道のりは長いと思いますし、国も真剣にアメリカや欧州、中国より先に法整備をしていかないと、日本の製造業が不利になりかねないと思います。