シャープ復活の鍵はコレ!ー有機ELより必要なことー
いよいよシャープと鴻海との最終契約が4月2日になされるようですね。
郭台銘董事長は『世界ナンバーワンの高みに再度戻したい』と言ってますが、
どうしたらシャープが復活することが出来るのか?について、
考えてみました。
鴻海からの資金をどう使うのか?
いちばん心配しているのが、お金を得たとしてもそのお金をどのように投資や返済にあてて、それがいつ頃回収できるのか?です。
キャッシュフローが回れば会社は存続できます。。。
投資することがマイナス資産を増やすことになりますが、悪いことではありません。
ただし条件は、『最終的に投資額に見合ったリターンがあれば』ということになります。
ではシャープの資金繰りはどうなっているのか調べました。
シャープは5100億円のシンジケートローンの返済期限が2016年3月末に迫っていました。そのために鴻海または産業革新機構との契約を早急に進めたいと考えていました。
もう3月末なので、3月末までに返済できず、銀行団には4月30日まで延長することで合意しています。
それにしても、5100億円の支払いであるなら、鴻海から得られる当初4890億円(最終3880億円)では足りないです。
そして、現業への投資額ですが、
中小型液晶ディスプレイ・・・600億円
有機ELディスプレイ・・・2000億円
家電・・・400億円
約半分を有機ELディスプレイの技術開発や量産設備に充てる計画です。
有機ELディスプレイに2000億円を投じるのは如何なものかと思われる。
この投資が博打になるのか、手堅い投資になるのかは、リターンがどれだけ見込めるのかにかかってくるわけですが、もし、将来有機ELディスプレイが次世代iPhoneに搭載され、かつ他のスマホにも搭載されて、シャープの有機ELディスプレイが半数近くのシェアを取れれば2000億円の投資が生きてくる。
しかし有機ELディスプレイの開発は、サムスン電子やLGグループが先行しているため、シャープは追い上げる立場にあり、いくら液晶ディスプレイの技術があっても、ほぼ別物を研究開発することになる。
シャープは新しい物を研究開発するのはあるていど得意な会社なので、お金さえあれば、有機ELディスプレイの研究開発に失敗することは無いでしょう。
しかし、私が一番心配するのは、ものづくりメーカーとして、一番備わっていないといけないメーカーとしての総合力であるコスト低減に関してです。
それが今日の資金繰りで困窮するシャープを作ってきたとしか思えないのです。
今のシャープに一番必要なもの
以下の記事は、去年8月の記事だが、シャープの財務状況が非常によく分かるデータがまとめられています。
まとめると
電卓、ヘルシオ、ザウルス、プラズマクラスター、液晶テレビなど数々の革新的な商品を作ってきたシャープですが、むしろ会社が存続していくためには、革新的な商品よりも、いかにしてキャッシュフローを回していくのかが重要なのです。
では、キャッシュフローを回していくためにはどうすれば良いのか?
それは、採算に合わない商品からは撤退することです。
シャープは経営理念に『いたずらに規模のみを追わない』と言っているので無理な販促はしていなかったと思われます。
どの商品から撤退するのかは、『選択と集中』になりますが、これには、データだけで判断するのではなく、会社としての意志が入る所になりますので、強いリーダーシップのある社長がするのか、創業者一族が考えるのかといった事になっていきます。
ただキャッシュフローを回していくのに原理原則的に効果があることがあります。
それが製造原価率を下げることです。
特に上記記事によって、データをもってシャープの製造原価率が突出して高いことが分かっています。
だから今回の鴻海から資金を得て有機ELディスプレイの商品化に成功したとしても、それによってシャープが復活したと考えるのは浅はかな考え方であり、真面目に原価低減して商品競争力をつけることこそが、シャープ復活の鍵であると思います。
かつてシャープは国産初の電卓を53万5千円で発売しましたが、それが今では100円ショップでも売っているくらいまでコストダウンしたように。。。